コラム

事業承継時に確認すべき経営指標とは?
動物病院の事業承継を検討する際、譲受側(後継者)は病院の経営状況を正しく把握することが重要です。
経営が安定しているのか、改善すべき点があるのかを判断するためには、適切な経営指標を確認し、数値をもとに分析する必要があります。
本記事では、動物病院を譲り受ける際に必ず確認すべき経営指標を解説します。
1. 収益性の指標
動物病院を引き継ぐにあたり、まず確認すべきなのは病院の収益性です。
継続的に利益を生み出せる病院かどうかを判断するために、以下の指標をチェックしましょう。
① 売上高
✅ 過去3〜5年の売上推移を確認
✅ 年間売上だけでなく、月ごとの変動も分析
✅ 売上が右肩上がりか、減少傾向にあるのかを把握
➡ 売上が安定しているか、成長している病院の方が承継後の経営リスクが低いため、売上の推移をしっかり確認しましょう。
② 売上構成比
✅ 診療収入、手術、予防医療、物販などの売上の内訳を確認
✅ 特定の診療科目に依存していないかをチェック
✅ 収益源がバランスよく確保されているかを分析
➡ 例えば、「予防医療が売上の大半を占める病院」と「手術や入院治療が中心の病院」では、経営戦略が大きく異なります。
どの分野に強みがあるのかを把握することが重要です。
③ 営業利益率
✅ 営業利益 ÷ 売上高 × 100で算出
✅ 一般的に、動物病院の営業利益率は10〜20%程度が理想
✅ 利益率が低い場合、コストの見直しが必要になる可能性がある
➡ 売上が高くても、利益が出ていない病院は要注意。
経費の使い方に問題がある可能性があるため、詳細を確認しましょう。
2. 費用構造の指標
次に、病院のコスト構造を分析し、適切な経営ができるかを判断します。
④ 人件費率
✅ 人件費 ÷ 売上高 × 100 で算出
✅ 動物病院の人件費率は一般的に40〜50%程度が適正
✅ 人件費が高すぎる場合、給与体系の見直しが必要
➡ 人件費が売上の半分以上を占めていると、経営の負担が大きくなる可能性があります。
スタッフの給与水準や採用コストを含めて、適正かどうかを判断しましょう。
⑤ 設備投資・減価償却費
✅ 診療機器の購入履歴や減価償却の状況を確認
✅ 高額な医療機器のリース契約が残っていないかをチェック
✅ 近い将来、設備の更新が必要かどうかを見極める
➡ 古い医療機器をそのまま使用するのか、新しい設備を導入するのかによって、承継後の投資計画が大きく変わります。
⑥ 家賃・固定費
✅ 物件の賃貸契約の内容(契約期間・更新条件)を確認
✅ 家賃が売上に対して適正かをチェック
✅ オーナーが不動産を所有している場合、承継後の取り扱いを明確にする
➡ 家賃が適正でない場合、固定費の圧迫につながるため、長期的な契約条件を確認しておくことが重要です。
3. 患者数(飼い主様)の指標
病院の経営は、飼い主様の来院状況に大きく左右されます。
承継後に集患で苦労しないためにも、以下のデータを分析しましょう。
⑦ 来院数の推移
✅ 過去3〜5年の来院数の変化を確認
✅ 新規 vs. リピーターの割合を分析
✅ 季節ごとの来院数の変動を把握
➡ 新規患者が増えているのか、リピーターが安定しているのかを確認し、病院の経営基盤の強さを見極めましょう。
⑧ 顧客単価
✅ 売上 ÷ 来院数 で算出
✅ 診療ごとの単価が適正かをチェック
✅ 予防医療やオプション診療の活用状況を確認
➡ 顧客単価が高い病院は、質の高い診療や付加価値のあるサービスを提供している可能性が高いため、承継後も継続できるかを検討しましょう。
4. 経営の安定性を示す指標
最後に、病院の財務の安定性を確認するための指標を見ていきます。
⑨ キャッシュフロー
✅ 営業キャッシュフロー(本業で得られる現金の流れ)を確認
✅ キャッシュフローが安定してプラスになっているかをチェック
✅ 借入金の返済負担が大きすぎないかを分析
➡ キャッシュフローが赤字続きの病院は、経営が厳しい可能性が高いため要注意。
資金繰りの状況を慎重に判断しましょう。
⑩ 借入金・負債の状況
✅ どの程度の借入金が残っているのかを確認
✅ 承継後に返済義務が発生するかどうかをチェック
✅ 金利や返済条件が負担にならないかを分析
➡ 借入金の多い病院を承継する場合、今後の経営に影響を及ぼす可能性があるため、十分に検討が必要です。
5. まとめ
動物病院の事業承継を検討する際、以下の経営指標をチェックし、慎重に分析することが重要です。
✅ 収益性の指標(売上高・営業利益率・売上構成比)
✅ 費用構造の指標(人件費率・設備投資・家賃)
✅ 患者数の指標(来院数・顧客単価)
✅ 財務の安定性(キャッシュフロー・負債の状況)
これらの指標を総合的に判断し、病院の経営状況を正しく把握したうえで承継を決断することが、成功のカギとなります。
事業承継をスムーズに進めるために、専門家(税理士・経営コンサルタント)と連携しながら、データに基づいた判断をすることが重要です。
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