コラム

動物病院の未来をつなぐために!事業承継の準備と進め方
動物病院の事業承継は、経営者が交代するだけではなく、病院の理念や診療方針、スタッフ・飼い主様との信頼関係を引き継ぐ重要なプロセスです。
スムーズな承継のためには、事前にしっかりとした準備を行うことが不可欠です。
本記事では、事業承継に向けて準備すべきことを解説します。
1. 事業承継の方向性を決める
まず、どのように病院を承継するのかを明確にする必要があります。
承継方法には主に以下の3つの選択肢があります。
① 親族内承継
家族や親族に病院を引き継ぐ方法です。
✅ 血縁関係があるため、比較的スムーズに引き継ぎやすい
✅ 診療方針や経営理念を維持しやすい
⚠ 後継者が獣医師資格を持っていない場合、経営を任せるか新たに獣医師を採用する必要がある
② 院内承継(スタッフ・勤務医への承継)
長年勤めている勤務医やスタッフに病院を引き継ぐ方法です。
✅ 既存スタッフが病院の運営に慣れているため、承継がスムーズ
✅ 院内の雰囲気を維持でき、飼い主様の安心感にもつながる
⚠ 承継者が経営未経験の場合、経営ノウハウを学ぶ期間が必要
③ 第三者承継(M&A)
親族やスタッフに適任者がいない場合、外部の獣医師や法人に病院を売却する方法です。
✅ 買い手を選ぶことで、病院の方向性をある程度維持できる
✅ 事業を継続しながら、譲渡側は経営から引退できる
⚠ 条件交渉や契約手続きが必要
どの方法が最適かを決めたら、次のステップへ進みましょう。
2. 後継者を育成する
承継方法が決まったら、後継者の育成に取り組む必要があります。
後継者がスムーズに経営を引き継げるよう、以下のような準備を進めましょう。
✅ 診療の引き継ぎ ・現院長の診療スタイルや治療方針を伝える
・後継者に病院の方針を理解してもらい、実際に診療を経験させる
✅ 経営の引き継ぎ ・売上管理や財務管理、マーケティングなどを学ぶ
・取引業者や仕入れルートを確認し、適切なコスト管理ができるようにする
✅ スタッフとの関係構築 ・後継者とスタッフの信頼関係を築く
・労務管理や組織運営について学ぶ
この期間に後継者が診療・経営・人材管理の全体像を理解し、実務を習得できるように指導することが重要です。
3. 病院の財務状況を整理する
事業承継をスムーズに進めるためには、財務状況の明確化が不可欠です。
特に以下のポイントを整理しておきましょう。
✅ 収支の確認 ・過去数年間の売上や利益の推移を分析
・経営の安定性をチェックし、改善が必要な点を洗い出す
✅ 負債や借入の整理 ・銀行からの融資やリース契約の状況を確認
・必要があれば、承継前に返済計画を見直す
✅ 資産の確認 ・診療機器や不動産の価値を把握
財務状況が整理されていないと、後継者が経営に不安を感じる原因になります。
経営をスムーズに引き継げるよう、事前に準備を整えましょう。
4. 関係者への周知と調整
事業承継は、スタッフや飼い主様にも影響を与えるため、適切なタイミングで情報を共有することが大切です。
① スタッフへの説明
✅ 事業承継の計画を伝え、不安を軽減する
✅ 後継者との協力体制を整える
スタッフが不安を感じると、離職につながる可能性もあるため、早めに承継計画を共有し、納得感のある形で進めることが重要です。
② 飼い主様への周知
✅ 病院の継続性を強調し、安心感を与える
✅ 変更点がある場合は事前に説明し、信頼を維持する
事業承継後も飼い主様に変わらず通院してもらうために、誠実な情報発信を心がけましょう。
5. 法務・契約の手続きを進める
事業承継では、契約書の作成や行政手続きが必要になるため、専門家と連携して進めましょう。
✅ 事業譲渡契約の締結
・事業の売却条件や譲渡価格を明確にする
・後継者が病院を引き継ぐための契約を整える
✅ 法人の場合は登記変更
・法人名義の病院の場合、代表者変更の登記が必要
✅ 取引先やリース契約の名義変更
・仕入れ業者やリース契約の名義を後継者に変更
契約の手続きを怠ると、承継後にトラブルが発生する可能性があるため、事前に準備を進めておくことが大切です。
まとめ
動物病院の事業承継を成功させるためには、以下の準備が不可欠です。
✔ 承継の方向性を決める(親族承継・スタッフ承継・M&A)
✔ 後継者の育成(診療・経営・スタッフ管理の引き継ぎ)
✔ 財務状況の整理(収支・負債・資産の確認)
✔ スタッフ・飼い主様への周知(安心感を与える対応)
✔ 法務・契約の手続き(事業譲渡契約・登記変更)
しっかりとした準備を行い、スムーズな承継を実現しましょう!
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