コラム

家族・親族内承継と第三者承継の違い
動物病院の事業承継を検討する際、「家族・親族内承継」と「第三者承継(M&A)」の2つの選択肢があります。
どちらの方法にもメリット・デメリットがあり、病院の状況や後継者の有無、経営の方向性によって最適な選択肢は異なります。
本記事では、家族・親族内承継と第三者承継の違いについて詳しく解説し、それぞれの特徴や注意点を説明します。
1. 家族・親族内承継とは?
家族・親族内承継とは、現院長の子どもや親族が病院を引き継ぐ方法です。
日本の動物病院では、歴史のある病院ほど親族内承継が多い傾向があります。
✅ メリット
① 経営の引き継ぎがスムーズ
親族間の承継では、病院の経営状況や診療方針をもともと理解しているケースが多いため、引き継ぎが比較的スムーズに進みます。
また、すでに病院の運営に関わっている場合は、後継者が経営に慣れるまでの期間を短縮できるというメリットもあります。
② スタッフや飼い主様の安心感
家族内承継であれば、病院の運営方針が大きく変わりにくいため、スタッフや飼い主様にとっても安心感があるというメリットがあります。
特に長年通院している飼い主様にとって、院長の変更は大きな変化ですが、親族が後を継ぐ場合は信頼関係を維持しやすいです。
③ 承継のコストを抑えやすい
親族間での承継であれば、第三者への売却とは異なり、病院の評価額にかかわらず柔軟な承継が可能です。
❌ デメリット
① 親族間のトラブルのリスク
親族間での承継では、兄弟姉妹間の意見の食い違いや、財産分与に関するトラブルが発生する可能性があります。
そのため、事前に承継計画を明確にし、親族全員が納得できる形で進めることが重要です。
② 後継者の能力や意欲の問題
親族だからといって、必ずしも経営能力や診療スキルが十分とは限りません。
後継者が獣医師であっても、経営の経験が不足している場合は、事前にしっかりとしたトレーニングが必要です。
③ 後継者が獣医師でない場合の課題
後継者が獣医師免許を持っていない場合、病院を存続させるためには別の獣医師を雇う必要があるため、経営の負担が大きくなる可能性があります。
2. 第三者承継(M&A)とは?
**第三者承継(M&A)**とは、家族や親族以外の獣医師や法人に病院を譲渡する方法です。
近年、獣医師不足や後継者不在の問題から、M&Aを活用した動物病院の承継が増加しています。
✅ メリット
① 適切な後継者を選べる
親族に後継者がいない場合でも、外部の獣医師や法人に譲渡することで、病院を存続させることが可能になります。
特に、経営意欲のある獣医師や、動物病院の運営ノウハウを持つ企業に売却することで、病院のさらなる発展につながる可能性があります。
② 経済的なメリットがある
病院を売却することで、譲渡資金を得ることができるため、引退後の生活資金に充てることが可能です。
また、病院の資産価値を最大限に活かすことができるという点も大きな利点です。
③ 専門家のサポートを受けやすい
M&Aを活用する場合、専門のアドバイザーやコンサルタントの支援を受けながら進めることができるため、安心して承継を進められるというメリットがあります。
❌ デメリット
① 病院の理念が変わる可能性
新しい経営者によって、診療方針やサービス内容が変更される可能性があるため、既存の飼い主様やスタッフが戸惑うことがあります。
② スタッフの定着が難しくなる
第三者承継の場合、新しい経営者の方針にスタッフが適応できず、離職してしまうケースもあるため、承継後のフォローが重要になります。
③ 売却価格や契約条件の交渉が複雑
M&Aでは、病院の価値評価や売却価格の決定、契約条件の調整など、多くの交渉が必要になります。
そのため、専門家のサポートを受けながら慎重に進めることが重要です。
3. どちらを選ぶべきか?
家族・親族内承継と第三者承継、どちらを選ぶべきかは、病院の状況や後継者の有無、経営の方向性によって異なります。
✅ 親族内承継が向いているケース
✔ 現院長の家族や親族に獣医師がいる
✔ 診療方針や病院の理念を引き継ぎたい
✔ 承継にかかるコストを抑えたい
✅ 第三者承継が向いているケース
✔ 親族に後継者がいない、または獣医師でない
✔ 病院の価値を最大限活かし、売却益を得たい
✔ 病院の成長・発展を重視したい
4. まとめ
動物病院の事業承継には、「家族・親族内承継」と「第三者承継(M&A)」の2つの選択肢があります。
どちらを選ぶかは、病院の状況や後継者の意向を踏まえ、慎重に判断することが重要です。
スムーズな承継を実現するために、専門家のアドバイスを受けながら慎重に進めていきましょう!
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