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譲渡契約を結ぶ前にチェックすべきポイント

動物病院の事業承継において、譲渡契約を結ぶことは病院の存続とスムーズな経営移行を実現するために重要なステップです。
しかし、契約内容を十分に確認せずに締結してしまうと、後々経営上のトラブルや金銭的リスクが発生する可能性があります。

本記事では、動物病院の譲渡契約を結ぶ前に必ずチェックすべきポイントについて解説します。


1. 譲渡契約とは?

譲渡契約とは、病院の経営権を譲受側に移転する際に締結する正式な契約書のことです。
契約には、財産や負債の引き継ぎ、スタッフの雇用継続、診療方針の維持、支払い条件など、多くの重要事項が含まれます。

譲渡契約を結ぶ際は、契約内容を詳細に確認し、自分にとって不利な条件がないか慎重にチェックすることが不可欠です。


2. チェックすべきポイント

① 譲渡の範囲

譲渡契約では、どの資産や権利が譲渡対象となるのかを明確にすることが重要です。

不動産・設備 ・病院の土地・建物が譲渡対象か、または賃貸契約を引き継ぐのか
・診療機器、医療用備品、内装設備などの所有権の扱い
・老朽化している機器が含まれているか(更新の必要性の確認)

診療データ・カルテ ・電子カルテや紙カルテなどの患者情報をどのように引き継ぐか
・データの保存期間や管理責任の所在

事業権利 ・病院名やブランドの使用継続の可否
・電話番号・ウェブサイト・SNSアカウントの譲渡の有無
・リース契約、仕入れ業者との契約継続の条件

契約書に含まれる譲渡の範囲を詳細に確認し、抜け漏れがないかチェックしましょう。


② 売買価格と支払い条件

譲渡契約では、譲渡価格と支払い方法について明確に定めることが不可欠です。

売買価格の妥当性 ・病院の財務状況、売上、利益を基に適正な価格が設定されているか
・譲渡価格の計算方法が適正か(純資産法・収益還元法などの評価手法を確認)

支払い条件 ・一括払いか、分割払いか
・分割払いの場合、利息や支払い期間の取り決め
・支払いが遅延した場合のペナルティの有無

後々のトラブルを避けるために、価格の透明性と支払い条件を明確にしましょう。


③ 負債・債務の引き継ぎ

銀行融資・ローンの引き継ぎ ・病院に未払いの借入金がある場合、誰が返済義務を負うのか
・譲渡後も旧院長が保証人となるのか(連帯保証の解除要確認)

未払い費用・リース契約 ・診療機器や不動産のリース契約の状況と引き継ぎ可否
・未払いの税金や請求書の存在を事前に確認

財務リスクを回避するために、契約書に「譲渡後に発生した負債の責任範囲」を明記しましょう。


④ スタッフの雇用継続条件

雇用契約の引き継ぎ ・現在のスタッフはそのまま雇用継続するのか
・給与、福利厚生、労働条件の変更有無

退職金・未払い給与 ・旧経営者のもとで未払いの給与や退職金が発生していないか

労働契約の確認 ・雇用契約書が整備されているか
・スタッフとの事前合意を取っているか

スタッフの雇用条件を確認し、労務トラブルを回避するために明確な取り決めを行いましょう。


⑤ 飼い主様・地域との関係性

診療方針の維持 ・譲受後、診療方針をどの程度維持するのか(大幅な変更があると患者離れのリスク)

告知のタイミング ・飼い主様や地域の関係者へ事業承継の周知をどのように行うか

スムーズな経営移行のために、飼い主様や地域との関係維持を考慮しましょう。


⑥ 競業避止義務の有無

旧院長の開業制限 ・契約後、旧院長が同じ地域で動物病院を開業することが禁止されるのか
・競業避止義務の範囲(期間・地域)

譲受側の経営の自由度 ・病院名の変更や診療サービスの追加が可能か

契約書に競業避止義務の条件がある場合、内容をよく確認しましょう。


3. まとめ

動物病院の譲渡契約を結ぶ際には、以下のポイントを事前にしっかり確認しましょう。

譲渡の範囲(不動産・設備・診療データ・契約関係)
売買価格と支払い条件(適正価格・分割払いの条件)
負債・債務の引き継ぎ(ローン・リース契約・未払い金)
スタッフの雇用継続(給与・労働条件・退職金の確認)
飼い主様・地域との関係(診療方針の維持・周知計画)
競業避止義務の有無(旧院長の開業制限・経営の自由度)

これらのポイントを確認し、慎重に契約を結ぶことで、スムーズな承継と病院の安定経営を実現できます。


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