コラム

動物病院の承継とリブランディングの可能性
~“変わらない価値”と“新しい価値”をどう共存させるか~
動物病院の事業承継では、「病院の雰囲気や理念を守る」ことが大切とされますが、
一方で後継者としては、“自分らしい病院”をつくりたい、新しい層の飼い主様にもアプローチしたいという気持ちもあるでしょう。
そこで注目されるのが、事業承継をきっかけにした“リブランディング”の可能性です。
本記事では、承継後のリブランディングの考え方や、実行する際のポイントについて解説します。
1. リブランディングとは?
リブランディングとは、既存のブランド(病院のイメージや方向性)を見直し、新しい価値を加えて再構築することです。
動物病院であれば、以下のような要素が対象になります。
- 院名・ロゴ・デザインなどの外見的な印象
- 診療科目・方針・サービス内容といった中身の方向性
- 飼い主様との接点・情報発信方法(SNS・HPなど)
➡ 古くからの信頼を残しつつ、新しい層にも「選ばれる」病院づくりがリブランディングの目的です。
2. なぜ、承継と同時にリブランディングを考えるのか?
動物病院の承継は、「変化」を前提としたタイミングです。
この時期にうまくリブランディングを取り入れることで、新体制としてのメッセージを発信しやすくなります。
✅ 承継×リブランディングが相性の良い理由
- 新院長の個性や診療スタイルを表現できる
- 飼い主様に“前向きな変化”として受け入れてもらいやすい
- 新たな層(若年層・予防志向層)への訴求ができる
- 病院の方向性を自分で再定義しやすくなる
➡ 「変わる不安」ではなく、「変わってよくなる期待」を引き出せるかがカギです。
3. リブランディングの主なアプローチ方法
✅ ① 病院の“見た目”を整える
- 院名を変更(旧院長色を残しつつ一部リニューアル)
- ロゴ・看板・診察券・ユニフォームの刷新
- ホームページ・SNSのトーンを統一
例:〇〇アニマルクリニック → 〇〇どうぶつ病院 + 新ロゴ
➡ 飼い主様にとって分かりやすく、“気持ちよく変わった”と思ってもらえる第一歩になります。
✅ ② 診療メニュー・サービスの再編
- 一般診療中心 → 予防医療や老犬ケアを強化
- 専門分野(皮膚科・眼科など)の導入
- トリミングやしつけ教室との連携サービス
➡ 地域のニーズや後継者の得意分野を反映した診療体制にアップデートできます。
✅ ③ 飼い主様とのコミュニケーション方法を見直す
- LINEでの予約受付やリマインド通知
- Instagramやブログで診療の様子やスタッフ紹介
- 初診時のカウンセリング強化
➡ “飼い主様との接点”を再設計することで、ファンづくりにつながります。
4. リブランディングの注意点
リブランディングには多くのメリットがありますが、やり方を間違えると、既存の飼い主様に不安を与えるリスクもあります。
✅ 失敗しないための注意点
- 急激な変化を避け、段階的に進める
- 「何が変わるのか・何が変わらないのか」を丁寧に伝える
- スタッフや飼い主様の声も取り入れて、方向性を決める
- 「病院のらしさ」を残しながら、新しさを加える
➡ 「変わったけど、ここはやっぱり○○病院だね」と思ってもらえる落とし所が重要です。
5. 実例:こんなリブランディングが効果的
- 30年以上続く町の病院 → 若手院長による予防医療強化+SNS発信強化
- 旧ロゴを残しながら、院内デザインと診察券を一新 → 「きれいになった」と好印象に
- 地域猫支援を継続しつつ、高齢犬のためのリハビリ設備を導入
➡ 「これまでの良さを残しつつ、未来に向かう」というストーリーが飼い主様の心を動かします。
6. まとめ
事業承継は、ただの“経営者交代”ではなく、病院のブランド・価値を再定義する絶好の機会でもあります。
リブランディングを前向きに活用することで、「守るべきもの」と「変えるべきもの」のバランスを取りながら、病院を新たなステージへと導くことが可能です。
✅ 病院の“見た目・中身・接点”を見直すことでブランド強化につながる
✅ リブランディングは段階的に進めることで不安を最小限にできる
✅ スタッフや飼い主様と共に“病院のこれから”を作っていく姿勢が大切
病院の歴史を大切にしながら、次の時代にふさわしい形へと進化させていきましょう。
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