コラム

承継後の診療価格変更のリスクとは?~“収益改善”が“信頼喪失”に変わる前に~
動物病院を承継した後、「診療価格の見直し」を検討する後継者は少なくありません。
原材料や人件費の高騰、旧体制からの価格据え置き、利益率の改善――。見直しには合理的な理由があります。
しかし、価格変更には“飼い主様との信頼関係に影響を与える”というリスクがつきものです。
この記事では、承継後に診療価格を変更する際に注意すべきリスクと、上手な進め方のポイントを解説します。
1. なぜ価格改定はリスクが高いのか?
✅ ① 飼い主様の“価格に対する感度”が高まっている
特に長年通院している飼い主様は、**「いつもの価格」=「安心の基準」**になっています。
価格の急な変化は、「対応が変わるのでは?」「お金が目的になったのかも…」といった不信感につながることがあります。
✅ ② 院長交代と価格変更が重なると不安材料が倍増する
承継後は「人が変わる」だけでも飼い主様は不安を抱きがち。
そのタイミングで価格も変わると、「病院が大きく変わってしまった」とネガティブに受け取られるリスクがあります。
✅ ③ 比較サイト・口コミによる影響が大きい
価格に関する情報は、ネット上の評価に直結します。
価格改定の背景を丁寧に伝えなければ、「高くなっただけ」と誤解される可能性もあります。
2. よくある失敗パターン
- 改定時期が早すぎた
→ 承継後すぐに価格を変えたことで、飼い主様が離れてしまった - 説明不足だった
→ 「理由が分からないまま高くなった」という印象を与えてしまった - 変更内容が不明確だった
→ 値上げ幅や対象項目が分かりにくく、トラブルにつながった
3. リスクを抑える“上手な価格改定”の進め方
✅ ステップ① 信頼構築が第一
まずは飼い主様との信頼関係を築くことが最優先です。
初診時・診療時の丁寧な対応や院内の雰囲気づくりに注力しましょう。
✅ ステップ②改定理由を丁寧に説明する
価格改定を行う場合は、必ずその背景や目的を飼い主様に説明しましょう。
- 「仕入れ価格の上昇」「品質維持のための見直し」などの正当な理由を示す
- 院内掲示やHP、LINE等で**“透明性のある伝え方”**を心がける
4. 改定後のフォローも重要
価格変更は「伝えたら終わり」ではありません。
変更後もスタッフが丁寧に説明を行う体制を整え、トラブルや誤解を未然に防ぎましょう。
- 「ご不明な点は何でもご相談ください」と明示
- 会計時の声かけやパンフレットで補足
- 院内での情報共有も徹底し、誰が対応しても同じ説明ができるように
5. まとめ
診療価格の見直しは、経営の改善に直結する一方で、病院の印象や信頼に大きな影響を及ぼす重要な要素です。
✅ 承継後すぐの改定は避け、信頼関係を築いてから
✅ 段階的・明確な改定がトラブル回避のカギ
✅ 改定理由を丁寧に伝え、納得を得る努力を惜しまない
✅ スタッフとの連携で、現場対応の質を保つことが大切
“価格を変える”=“関係性を再定義する”機会とも言えます。
飼い主様の立場に立ちながら、慎重に進めていきましょう。
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