コラム

獣医師・スタッフの採用と育成の課題とは?
~承継後の病院経営を支える人材戦略~
事業承継を経て動物病院の経営を引き継いだ後、避けて通れない課題が「人材の確保と育成」です。
どれだけ設備が整っていても、現場を支えるスタッフがいなければ病院運営は成り立ちません。
しかし、獣医療業界では人材不足が深刻化しており、優秀な人材の採用や定着には高いハードルがあります。
本記事では、承継後の獣医師・スタッフ採用と育成の課題と、その対応策について解説します。
1. 採用が難しくなっている背景
近年、動物病院の人材採用はどの地域でも困難を極めています。特に中小規模の動物病院では、求人を出しても応募がほとんど来ないという状況も珍しくありません。
✅ 採用難の主な要因
- 獣医師の絶対数不足(特に地方で顕著)
- 経験者志向の高まり(新卒よりも実務経験者を求める病院が多い)
- 労働環境の厳しさ(長時間労働、休日出勤など)
- 同業他院との人材獲得競争の激化
➡ 「選ばれる職場づくり」を意識しなければ、良い人材を採用することは難しくなっています。
2. 採用活動の課題と対策
病院の規模や立地、院長の知名度だけでは、優秀な人材を集められない時代です。求人の出し方、見せ方にも工夫が必要です。
✅ 採用活動でよくある課題
- 情報発信が不十分(求人内容が簡素・魅力が伝わらない)
- 採用媒体の使い分けができていない(新卒・中途に同じアプローチ)
- 面接・見学対応が形式的で印象に残らない
✅ 採用強化のための工夫
- 病院の理念や働く魅力を言語化し、積極的に発信(SNS・HP・求人サイトなど)
- 求人票には「職場の雰囲気」「キャリアビジョン」「1日の流れ」などリアルな情報を記載
- 病院見学では、実際に働くスタッフと交流できる機会を設ける
- 採用後のフォロー体制を説明し、不安を取り除く
➡ 「働いてみたい」「ここで成長したい」と思ってもらえる仕組みづくりが必要です。
3. 育成の難しさとその背景
採用できたとしても、新人スタッフが定着せずに辞めてしまうケースも少なくありません。
これは、育成体制の不備や、過度な業務負担、不明確なキャリアパスなどが原因です。
✅ 育成におけるよくある課題
- マニュアルや指導体制がない
- OJTに頼りきりで、教える人によって内容にバラつきがある
- 教える余裕がスタッフ側にない(日々の診療に追われている)
- 教わる側も「自分がどうなりたいか」が描けない
➡ 「教育に時間を割けない」「成長支援が仕組み化されていない」ことが、定着率の低下につながります。
4. 定着・育成のためのアプローチ
承継直後こそ、院内に安心感と成長機会を提供することが求められます。
スタッフ一人ひとりの成長が、病院全体の成長へとつながります。
✅ 育成・定着のためにできること
- 院内教育のマニュアル化(診療補助・受付対応・薬の扱いなど)
- 定期的な面談の実施(不安や希望の把握、キャリアの確認)
- 教育担当者を明確にし、育成体制をチームとして支える
- 勉強会や外部研修への参加支援
- 明確な評価制度・昇給ルールの導入
➡ 「この病院で成長できる」「長く働ける」と思ってもらえることが、育成と定着の鍵です。
5. まとめ
事業承継後の動物病院において、人材の採用と育成は経営の根幹を支える要素です。
スタッフが集まり、育ち、定着する病院は、飼い主様の信頼も得られやすく、持続可能な経営が実現できます。
✅ 採用では「病院の魅力をどう伝えるか」が重要
✅ 育成では「仕組み」「時間」「成長の見える化」がポイント
✅ スタッフの声を拾い、働きやすい環境を整える努力を続けることが必要
承継による体制の変化を乗り越え、「この病院で働きたい」と思える職場づくりを目指しましょう。
LEAP Advisory Services(LEAPAS)
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