コラム

第三者承継における買い手探しの方~動物病院を想いをもって引き継いでくれる相手に出会うために~
動物病院の事業承継を考える際、親族やスタッフに後継者がいない場合の選択肢として「第三者承継(M&A)」が注目されています。
しかし、「病院を誰に譲るか?」は非常に大きな決断です。単に「売れるかどうか」ではなく、病院の理念やスタッフ、飼い主様との関係を理解し、大切にしてくれる相手を見つけることが何より大切です。
本記事では、第三者承継における買い手探しの方法と、その際に意識すべきポイントを解説します。
1. 第三者承継の買い手とは?
第三者承継における「買い手」は、主に以下のような相手が考えられます。
✅ 主な買い手のタイプ
- 開業希望の若手獣医師(勤務医から独立を目指す層)
- すでに動物病院を経営している法人やグループ(多院展開を進める企業)
- 業界外の医療・介護・投資系企業(動物医療への新規参入)
➡ それぞれの買い手によって、「譲渡後の病院の姿」も大きく変わります。
2. 買い手探しの方法
第三者に承継する場合、信頼できる相手と出会うには、計画的かつ多角的な方法でアプローチを進めることが重要です。
✅ 買い手探しの主な方法
■ 1. M&A仲介会社を活用する
動物病院のM&Aを専門とする仲介会社に相談することで、自分では出会えない買い手候補とマッチングが可能になります。
メリット:
- 非公開でのマッチングが可能(スタッフや飼い主様に知られず進められる)
- 価格査定や条件交渉もサポートしてくれる
- 法務・税務も含めた全体の流れを管理してもらえる
■ 2. 同業ネットワークを活用する
知人の獣医師、メーカー営業、獣医師会などに相談することで、信頼できる獣医師への橋渡しができる可能性もあります。
注意点:
- オープンな情報共有になると、スタッフや飼い主様に不安を与えるリスクもあるため、慎重に進める必要があります。
■ 3. 病院のホームページ・SNSでの発信(慎重に)
最終手段として、病院の理念や承継希望の情報を発信することで、興味を持った獣医師からの問い合わせを得られる可能性もあります。
ただし、実名や詳細を公開するリスクがあるため、実行には専門家の助言が必要です。
3. 買い手候補の選定ポイント
「どんな相手に譲るか?」は、承継後の病院の未来を左右する重要な判断です。
✅ 選定時に確認すべきポイント
- 病院の理念や診療方針を理解してくれるか
- スタッフとの協調を大切にしてくれるか
- 飼い主様への対応力やコミュニケーションに信頼がおけるか
- 財務状況や運営能力に問題はないか(資金調達力・経営経験)
- 承継後の方針(院名変更、診療体制、価格改定など)
➡ 「経営力+人柄+理念の共感」が揃っていることが理想的です。
4. 情報開示のタイミングと注意点
買い手探しを進める中で、病院の情報をどこまで、いつ開示するかは非常にデリケートな問題です。
✅ 情報管理の注意点
- 実名や住所などの病院情報は、基本的に守秘義務契約(NDA)もしくはアドバイザリー契約を結んだ後に開示
- スタッフや飼い主様への説明は、譲渡が決定し、移行計画が整ってから
- 曖昧な情報が先に広まると、スタッフの離職や飼い主様の不安につながる可能性も
➡ 「誰に・いつ・何を」伝えるかは、専門家の支援を受けながら慎重に決めましょう。
5. まとめ
第三者承継における買い手探しは、動物病院の未来を託すパートナー選びとも言えます。
単に「売れる相手」ではなく、「想いを引き継いでくれる相手」を見つけることが最も重要です。
✅ M&A仲介や獣医師ネットワークなど、多様なルートを活用する
✅ 病院の理念・診療スタイルへの理解がある相手を優先する
✅ スタッフ・飼い主様に安心を与える対応を心掛ける
✅ 専門家のサポートを受け、トラブルのない承継を目指す
大切に育ててきた病院だからこそ、信頼できる後継者にしっかりバトンを渡しましょう。
LEAP Advisory Services(LEAPAS)
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