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M&Aによる承継のメリットとデメリット

~“ゼロから開業”ではなく、“すでにある価値を活かす”選択肢~

近年、動物病院の事業承継方法として注目されているのがM&A(第三者承継)です。
後継者の不在や開業コストの高騰、働き方の多様化により、
「既存の病院を譲り受けて経営する」という形が現実的な選択肢となっています。

本記事では、M&Aによる動物病院承継のメリットとデメリットを譲受側の視点から整理し、自分に合ったキャリア選択のヒントをお届けします。


1. M&A承継とは?

M&A(エムアンドエー)とは、“Mergers and Acquisitions”の略で、ここでは第三者が既存の動物病院を買収・譲受して経営を引き継ぐことを指します。

法人や個人の開業希望者が、病院の設備・患者基盤・スタッフをそのまま引き継いでスタートできる点が特徴です。


2. M&Aによる承継のメリット

✅ ① 開業初期のリスクを大幅に軽減できる

新規開業と異なり、既に一定の患者数・売上がある状態から始められるため、経営リスクを抑えることができます。
また、立地・設備・スタッフなどもそろっていることが多く、立ち上げ期間を大幅に短縮できます。

➡ 「開業しても集患できるか不安」という人には非常に安心できる形です。


✅ ② 病院のノウハウや地域での信頼を引き継げる

長年地域で診療してきた病院には、飼い主様との関係性や診療方針、運営スタイルなどの“見えない資産”があります。
M&Aではそれらも含めて引き継ぐことができるため、“経営の地盤”を維持しながら自分の色を加えることが可能
です。


✅ ③ 設備やスタッフをすぐに活用できる

初期投資を抑えながらも、すぐに診療が始められる環境が整っているのが大きなメリットです。

  • 医療機器がそろっている
  • 既存のスタッフが在籍している

➡ 「一人でゼロから作り上げるのが不安」「経営に集中したい」という方に向いています。


✅ ④ 金融機関の融資が得やすい

既存病院の財務実績があるため、銀行などの金融機関にとってもリスクが低く、融資が受けやすくなる傾向があります。
収支計画も立てやすいため、資金調達の面でも新規開業より有利になるケースが多いです。


3. M&Aによる承継のデメリット・注意点

❌ ① 経営方針の変更が難しいこともある

譲渡元の病院に強い理念や方針がある場合、それを大きく変えるとスタッフや飼い主様の反発を招くリスクがあります。
特に承継直後は、「何が変わるのか?」という空気が院内外に漂うため、改革は慎重に進める必要があります。


❌ ② スタッフとの関係構築に時間がかかる

スタッフにとって「院長が変わる」というのは、大きな出来事です。
譲渡側への信頼が強い場合は、新しい院長に慣れるまで時間がかかることもあります。

➡ 就任後は、スタッフとの対話や信頼構築に時間を割く覚悟が必要です。


❌ ③ 病院の“クセ”や“課題”もそのまま引き継ぐ

一見うまく回っているように見える病院でも、設備の老朽化・経理の非効率・スタッフ間の軋轢など、内側に問題を抱えているケースもあります。

➡ 譲受前に、**財務状況・契約内容・スタッフ構成などをしっかりと調査(デューデリジェンス)**することが重要です。


4. どんな人に向いている?

M&Aでの病院承継は、以下のような方に特に向いています。

✅ 開業はしたいが、ゼロから始めるのが不安
✅ 診療に集中したいので、設備やスタッフを整えておきたい
✅ 将来の経営ビジョンが明確で、既存病院をベースに成長させたい
✅ スタート段階から一定の収益を確保したい


5. まとめ

M&Aによる動物病院の承継は、既存の資産・信頼・体制を活かして、安定的にスタートできる選択肢です。

✅ 初期リスクが少なく、経営基盤を活かせる
✅ 飼い主様・スタッフとの関係構築がカギとなる
✅ 自分のやりたい医療とマッチしているかを事前に見極めることが重要

“受け継ぐ”だけでなく、“進化させる”視点を持てる後継者にとって、M&Aは大きなチャンスになります。


LEAP Advisory Services(LEAPAS)
動物病院M&Aの実行支援、譲受前の調査、融資・資金計画までトータルでサポートいたします。

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